2001年4月4日(水) 天気 : 晴れ

Physics of UNO

UNO と言ってもカードゲームの UNO じゃなくて実験グループの名前。

宇宙・原子核・素粒子の分野にわたっていろんな話題がある物理にニュートリノに関するものがある。 ニュートリノっていうのは素粒子の一つで、質量が非常に軽い粒子で、なおかつ他の粒子との相互作用が非常に弱い粒子。

相互作用が弱い(でもゼロじゃない)ってことは、観測するのも大変(装置も大きくして、時間もかかる)ってこと。 ここ10年では、ニュートリノの実験に関しては日本の神岡鉱山(廃坑)にある、カミオカンデ、スーパー・カミオカンデが世界的にリードしてきてたんだけど、次世代の実験としてアメリカで計画されているのが、UNOという実験。

ちなみに、世界で初めて Supernova(超新星爆発)から来たニュートリノを観測したのは、カミオカンデだし。 これまでニュートリノは質量が無いと考えられていたんだけど、ゼロでは無いことを発見したのは、スーパー・カミオカンデ。

今日あったセミナーでこの UNO に関して、SUNY(State University of New York) at Stony Brook の人が来て話をしていた。

理論的な面の話から始まって、どんな実験装置になるか、どこに作るかって話をして、まとめがあって終わり。 ここまでは良かったんだけど、一番最後に光電子増倍管をどうやって作るかってビデオを彼は見せた。

光電子増倍管 (Photo Multiplier Tube = PMT):
真空管の一種で、高エネルギーの実験では観測装置の一部として使われる。 電気を帯びた粒子が通った時間を、数十 nsec (ナノ秒 = 0.000000001 秒)の精度で測定可能。
で、すこし気になったのは、そのときのコメントと聴衆の反応。 真空管ってのは、外側は薄めのガラスで覆われているんだけど、大きなものを作るのには機械では難しくて、熟練工による息で膨らまさないとうまく出来ない。 もちろん、歩留まりも悪いんだけど、機械ではうまく作れないので自動化はなかなか難しい。
この光電子増倍管で世界でもっとも性能の良いものを作っているのは、浜松にある、Hamamatsu Photonics。 この企業がこの分野で世界のトップにあることを、地元の人はあまり知らないようだけど。
そういう人が作った方が性能の良いものが出来ることを多分知らないんだと思うが、彼は職人さんがガラスを膨らましているところのビデオで、「ホントにハイテクで作られてます」と笑いながら言い、それを聞いてた物理屋は流れ上もあるんだろうけど、どっと笑ってた。

ばかなやつら、と思ってしまった。

質問の時間の時に、コメントしてやろうかと思ったが、結局しなかった。 「何でも機械化したほうがいいなんていうのは間違いですよ、熟練工の技術が機械に勝るってことが多々あるってことを知っときなさい。」

ポイントは、性能のいいものが欲しいならそれなりのお金をださなきゃならない。 安いものが欲しいからといって、機械化したものを使うと、きっと性能は落ちますよ。