2002/09/16 (月)

論文

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いつも11時頃に、オフィスのメイルボックスに郵便物がやってくる。 研究所当ての郵便物やその他の配送会社(FedExとかUPSとか)からの物は、それを扱う部署で受け付けてそれからグループごとのメイルボックスに配られる仕組みになってる。

自分のメイルボックスを見てみると、アメリカ物理学会の学術雑誌、Physical Review からの封筒が来てた。 さて何かなと思ってあけてみると、「あなたの投稿した論文を受理しました」という手紙だった。 思わず、笑みがこぼれた。

投稿してた論文は自分の博士論文を雑誌用にまとめた物なんだけど、投稿するまでに2年位かかった。 普通論文を雑誌に投稿するときはグループ内部での議論をすませた上でするんだけど、別の実験が2000年から始まったのもあって、自分も他の人も新しい方にかまけてその論文自体半分忘れかけられてた。 さすがにそれはまずいからちゃんと出版しようということで、時間を見つけてまとめ上げて投稿したのが2月20日頃。 レフリー(審査員)からコメントが来たのが4月の中頃で、それに対する返事をまとめて論文の手直しをして再度投稿したのが7月の頭。 9月の頭に再度レフリーからのコメントが来たけど、英文の手直しと図をもう少し見やすくした方がいいのではというコメントだけだったので、その日のうちに直して返事をした。 受理された日は9月10日だったので、3度目の投稿から4日後に受理されたことになる。

自分の博士論文の内容が学術雑誌として出版されていないのは格好悪い、というか結構まずい。 何故なら、優れた内容の物は出版されないはずはないと考えられるので、出版された=優れてる内容、ではないけど、出版されてない=たいしたことない内容、と思われてしまう。 採用されるまで時間がかかったけど、何にせよ受理されたのはめでたい。

高エネルギー物理の分野では、学術雑誌に投稿しようとしてる人はその論文をまずプレプリント・サーバと呼ばれているところに送ることが多い。 そこは、レフリーも居ないので送ったらそのまま乗る。 レフリーが居ないということは玉石混交になりうるということなんだけど、変な論文を大量に送ってれば単にその筆者の見識が問われるだけなので、変なものはあまりない。 プレプリントの利点は、送ったらすぐに(遅くても1日中に)サーバに乗り公表されること。 これは、誰が最初にあることを言い出したか、発見したか、などのクレジットを得るために役に立ってる。 もちろん、レフリーの居る学術雑誌に載った論文の方が重要視されるけど、雑誌の方はどうしても出版されるまでに時間がかかるので、時期がずれて同じ内容の論文が別々の筆者から送られてきても、出版されたときには順番が逆転されることもあり得る。 そうすると誰が最初にある仮説を立てたか、発見したかで、言い争いが起きることがありうるけど、プレプリント・サーバに投稿しておけば、ある程度はそういう争いがさけられる。

この受理された論文、いつごろ出版されるんだろ。 プレプリントの方は、 nucl-ex/0202019 として載っている。


物理屋のすごしかた (c) M.Kaneta